「ロサンジェルスへの旅」



一年ぶりの長い旅。
息子と二人きりの2度目の旅。
着いたところに友達が待ってくれていた旅。

初めてのアメリカ・・・・


我が家は決して裕福じゃありません。

でも・・・
息子の成長を止めるわけにはいきません。
13歳の夏はもう二度と帰ってこないのです。

裕福でないからこそ、彼に残せるものはといえば
家族との思い出、貴重な自分自身の体験だけだと思うのです。

一年にひとつずつでも生涯の思い出になるような体験ができれば
それが彼の財産だと思うのです。

とはいえ、これまでは外国旅行など高嶺の花とあきらめていましたが、
昨年ロンドンへ行った体験からディスカウントチケットの存在を知り、
地元の交通機関を使うことなどで外国旅行もまんざら夢ではないと
思えるようになりました。

息子が友達と旅行を始める前に、あと一つか二つ
親との思い出を増やしておきたいと、旅立ちました。

 

アメリカは誰もが言うように広いです。
われわれが見たのはロサンジェルスの郊外で、
アメリカのほんの隅っこのさらに一部に過ぎないのですが、
本当に広いなぁという印象を受けました。

人びとのおおらかさがまさしくこの広さから来るのではないかと思えるのです。

たとえば、車をがむしゃらに走らせることなどありません。
どこへ行ってもゆったりとした駐車場が迎えてくれるからでしょうか、
車は道を譲り合い、
歩行者に対しては百メートル程も先で横断するのを待っていてくれるのです。

アメリカの観光客がローマの真ん中で道を渡れないというのが
なぜだか判った気がします。

みんな信号をきちんと守り、警笛も鳴らさず整然と走っていきます。

イタリアではそういうことをしていると先に唯一の駐車場を取られてしまい、
自分は何十分もぐるぐる回り続けるか、仕方なく2重駐車をして、
運が悪ければ罰金ということになりかねません。
ですから先を争うのでしょう。

しかもアメリカには終日開いているスーパーもかなりあるようで、
時間を気にしないということもあるでしょう。

イタリアのスーパーは閉店時間の15分位前から追い出し作戦が始まります。
あるいは午後の休みを取ったりするところがあって、
いつも時間を気にして行動しなければ買いたい物も買えません。


ただ、私がお邪魔した地域は、道を行く人が極端に少なくて驚きました。
みんな車で移動して、ごく稀にバス停でバスをで待つ人を見かけるくらいです。

というのもお店屋さんがないからでしょう。
道路わきには銀行やファーストフードや車の販売店などがあるくらいで、
いわゆるブティックや駄菓子屋さんやイタリアにたくさんあるBarなどがないのです。

そういうお店はみんなモールというショッピングセンターの中にまとまっています。
便利といえば便利ですが、町の様子がちょっぴり寂しい気がしました。
やっぱり町には人がいないとね。

 

物価はイタリアに比べて安いのではないでしょうか。
遊園地の中だけは何でも驚くほど高かったですが。

また食事は13歳の息子には天国のようなところだったようですが、
どこへ行ってもハンバーガー。
朝食メニューもハンバーガーには驚きました。

たとえばイタリアのちゃんとしたレストランでハンバーガーを注文しようものなら
うんざりしたような顔で、「そういうものはありません。」と断られるでしょう。

やっぱり食べ物はイタリアです。
(日本食はこの際考えないことにして)

きっとイタリアは国土が狭いので、海のものも山のものも
新鮮な状態でどの町でも手に入るから、おいしいものが多いのでしょうね。

アメリカのように国土が広いと、現代ではまだしも
かつては海のものをネブラスカ辺りへ運んだらすっかり痛んでしまったでしょうから。

 

食べ物のすぐあとになんですが、
トイレの清潔さも昨年のロンドンでも感心しましたが、
ここでもマメに清掃されていて気持ちが良かったです。

どうしてなのかわかりませんが、イタリアではトイレ掃除を大げさに捕らえていて、
一日にほんの数回、しかも掃除中は誰も入れないので、
困ってしまうことがあります。

ドアも壊れていることが多くて、一人では用を足せないようなときもあるほどです。

立派な大理石でトイレを作っても掃除やメンテナンスが行き届かないのでは
主客転倒ですね。

 

でも・・・・
イタリア人がいるのでイタリアは素敵なんだと思います。

町も自然も素晴らしいけれど、
愛すべきイタリア人がいなければかなり感じは違ってくるでしょう。

イタリア人はまるで犬がほかの犬に興味を示すように、
ほかの人間に興味を持っています。

帰りの飛行機の乗り継ぎに遅れそうになって最後に乗り込んだ我々に、
「ああ、ついに彼女がやってきた!」

まるでみんなして心配しながら待っていたんだよ。といわんばかり。
見も知らない人にさえこうなんですから・・・


アメリカ人のほうが、あるいはアメリカに住む人達のほうが
全般的に優等生だと思われます。

でも・・・・

劣等性にはそれなりのなんともいえぬあじがあるんですよね。

Keiko