息子の友達
息子のクラスメートがうちへ遊びに来ました。
ルカと言う男の子です。
息子たちがまだ中学1年生だったころのある日、就業ベルがなってみんなが校門の外へ出てきたのに
息子のクラスだけが出てきません。
待ちあぐねていたところへ3,4にんのクラスメートたちが出てきました。
でも、何も言わずいってしまいます。
私ともう一人のお母さんだけが門のところで待っていました。
そこへようやくうちの息子とそのお母さんの息子たちが並んで出てきました。
「どうしたの?」と聞きながら息子が泣いているのに気がつきました。
「どうしたの?!」さっきとは私の語調も違います。
泣きながら説明半ばにさっさと言ってしまう息子に追いつこうとしているときに
ルカがこっちを見ながら、「Che schifosi Giapponesi!」と言ったのです。
訳すと「なんていやな奴なんだ日本人は!」と言ったところでしょうか。
「なんていやな日本人。」ではないのです。
日本人の中のいやなやつではなくて、日本人全体がいやな奴なのです。
外国に住んでいるとその辺が気になります。
自分のしたことで日本人全体の印象を損ねたくはありません。
さて事の次第は、ルカと言う同級生が、帰りの列を作っているところへ突進していって、
ちょうどその日、音楽の授業があったので多くの子供が小さな電気オルガンを持って登校していて、
陽介もそれを脇に抱えていたのです。
そこへ彼が突進してきたので、ぶつかって痛い思いをしたようです。
きっとあまりに痛かったのでカットなったのだと思いますが、
先生に陽介が電気オルガンでぶったといいつけたのです。
その前に、ちょうど腕を折って石膏で固めていたルカは、その石膏で陽介の頭をぶったりもしたのです。
ルカの言葉を真に受けた先生は、ほかの生徒に聞くわけでもなく、もちろん当の本人には
一言も
しゃべらせないで、「校長のところへ連れて行くわよ!」と脅しまがいの言葉。
近くにいた同級生たちが事情を説明してくれて、やっと放免になったものの
陽介にしてみれば振って沸いた災難、先生が一言もしゃべらせてくれなかったことが悔しかったようです。
ちょうど、私の車で送ってあげた同級生が、
「陽介のお母さん、さっきのことだけど陽介は何にもしていないんです。
どうか陽介をしからないであげてください。」と言ってくれました。
次の日、「ルカは1000回も謝ったよ。」と言って息子はけろっとしていましたが、
大勢の人の前で「Che schifosi Giapponesi!」と言われた私は少しばかり傷つきました。
とにかくそんなことがあってすでに1年半、今日ルカが遊びに来ました。
もちろん学校ではとっくにそんなことは忘れて仲良くしていたようですが、
うちは中心部から遠いので、フラット立ち寄ることはできません。
お友達が来るときは、私が迎えに行ったり、親御さんが送ってこられたりということになるのですが、
土曜の午後を一緒に遊んでいるところを見て、ほっとしたと言うか
いつまでもあの小さな事故を覚えていたのは私だけだったのかと思いました。
Keiko